購入した登山用ヘルメットの買い替え時が分からない、という方、実は多いのではないでしょうか。
もちろん安全に関わる道具ですから、きちんと性能を維持しているなるべく新しい製品を使うのが望ましいのは言うまでもありません。ですが、食品の賞味期限と違って「20XX年○月○日まで」と明確に耐用年数が決まっているものでは無く、また、規格などで定められていることでもないため、交換時期の判断については迷ってしまうこともあると思います。
 

今回は、この「ヘルメットの寿命」と「交換時期の目安」について、メーカーの立場から参考にしていただけるようなお話をしたいと思います。
 

 

ヘルメットの交換が必要になるときとは?

登山用ヘルメットの交換が必要になるのは、次のようなタイミングです。

  • ■ ヘルメットに1度でも大きな衝撃を受けたとき
  • ■ 帽体表面の傷やあご紐のほつれが目立つようになったとき
  • ■ ヘルメットの強度に影響が出るような薬品が付着してしまったとき
  • ■ 購入後一定期間が経過したとき(ヘルメットの寿命)
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    では、それぞれの詳しい内容についてご説明します。
     
     

    ■ ヘルメットに1度でも大きな衝撃を受けたとき

    これは、【買い替え必須】です。絶対に買い換えてください!
    落石を受けたり、転んだ際に強く打ち付けられたりしたヘルメットは、凹んだり割れたりしてしまった場合はもちろんのこと、一見壊れてないように見えても実は内部でダメージを受けています。
    ヘルメットは、外側のプラスチックや内側の発砲スチロールが凹むことによって衝撃を吸収する構造になっています。また、あご紐はその際にわずかに伸びることによって頭部からのヘルメットの脱落を防ぎます。ところが、一度衝撃を受けたヘルメットの各パーツは、再び凹んだり伸びたりすることが出来ません。そのため、二度目の衝撃を受けた場合には、その衝撃を十分に吸収することが出来なくなってしまうのです。バイク用、スキー用なども含め、どんなヘルメットでも衝撃を受けたときには買い替えを呼びかけているのはこのためです。
    また、衝撃という面で言うと、ヘルメットを単品で地面に落とした程度では通常は問題ないと考えられますが、高所から落ちてしまった場合や重いものの下敷きになるなどした場合は、同様に衝撃吸収能力が低下している可能性があります。そのため、こう言った場合には、たとえ買ったばかりのものでも「もったいない」と思わずに買い替えをご検討ください。
     
     

    ■ 表面の傷やあご紐のほつれが目立つようになったとき

    ヘルメット表面の傷やあご紐のほつれなどは、劣化のひとつの目安になります。
    プラスチック面の傷が多いと割れやすさに、紐のほつれは破断に繋がりやすくなりますので、これらの傷みが見受けられるようになってきたら、交換をしてください。
     
     

    ■ ヘルメットの強度に影響が出るような薬品が付着してしまったとき

    こちらはヘルメットの素材によって影響の出る薬品が違いますが、多くの登山用ヘルメットで使われているABS樹脂やポリカーボネート(PC)製のヘルメットでは、有機溶剤や一部の界面活性剤などの薬品類に弱い傾向があります。※ちなみにravinaのヘルメット「FLUQUE」はABS樹脂製です。
    例えば、アセトンはネイルリムーバーなどにも多く使われていますが、このアセトンの成分はABSやPCを溶かしてしまいます。また、強い酸性やアルカリ性の洗剤も劣化の原因となることがありますので、ヘルメットにかからないように注意が必要です。もしもこういった薬品が付着してしまった場合にも、買い替えをお願いします。また、汚れたヘルメットをお掃除する際には、薄めた中性洗剤と水をお使いください。
     
     

    ■ 購入後一定期間が経過したとき(ヘルメットの寿命)

    さて、一番の難題でみなさまが迷われる原因となるのが、この「一定期間が経過したとき」という条件だと思います。一定期間てどのくらいやねん!と思われるかもしれませんが、これが、所持者個々人の使用状況や保管状況によって全く変わってきてしまうため、本当に一概には言えないのが実態です。
    通常、ヘルメットの劣化に最も影響をおよぼす「太陽光(紫外線)」の下で毎日使っているという前提で言うと、ABS樹脂製のヘルメットの耐用年数は3年が目安と言われています。ですが、これも3年を過ぎたら全てダメになるという訳ではなく、ABS樹脂製のヘルメットを無作為に選んで性能テストをすると、3年以上経っているものの中から徐々に強度が落ちている製品が出てくる、という試験結果に基づいた目安になっています。
    弊社にて、登山用のヘルメットと比較的構造が似ている産業用保護帽(工事現場などで使われる業務用のヘルメット)でテストをした結果がありますので、参考までに掲載します。
     

    ※参考
    実際に使われていたABS製の産業用保護帽237個を対象に、厚生労働省「保護帽の規格」に基づく基準で衝撃吸収性能試験を実施した結果

    ※引用元:株式会社谷沢製作所 保護帽の経年劣化(その2)http://www.tanizawa.co.jp/library/2010/12/2_1.html
     

    工事現場などで日常的にヘルメットをかぶる場合は上記が目安になりますが、レジャーである登山の場合には毎日朝から夕方までずっとヘルメットをかぶる人はあまり居ないと思いますし、光にあてずに暗所で保管すれば劣化のスピードは遅くなります。そのため、ご自身の使用頻度や保管状況などを考慮して、「そろそろ不安だな・・・」と思ったときに買い替えていただきたいと思います。
    なお、FLUQUEの取扱説明書には耐用年数として以下のように記載していますので、こちらも参考にしてください。
     

     本ヘルメットの製品寿命は、未使用状態で正しく保管した場合に、最長10年です。但し、合成樹脂製のヘルメットは、紫外線暴露や環境の変化に影響を受けて経年劣化していくため、実際の耐用年数はこれよりも短くなります。影響の度合いは要因により大きく変化します。交換のめやすは、使用前後の手入れ、保管が正しく行われた場合に、使用頻度が高い場合は2~5 年、使用頻度が低い場合は5~8 年です。
    要因の例:使用環境、使用頻度、ユーザーの能力、保管やメンテナンスの状況 等
    注意:以下に挙げるような状況においては1回の使用で損傷が生じ、その後使用不可能になる場合があります(化学薬品との接触、鋭利なものとの接触、極端な高/低温下での使用、墜落や大きな荷重等がかかった場合)

     

    道具も適切に管理・交換して、安全で快適な登山ライフをお楽しみください!

     
     
     


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    ravinya(らびーにゃ)です。ブランド名の『ravina』と今をときめくお猫様にあやかって、ravinyaと名乗らせていただいてます。2015年のGWに山デビュー。以来、月1~2回の登山とジョギング・ボルダリング等で徐々に体力向上中。登って良かった山は、宮之浦岳、会津駒ヶ岳、白馬岳、燕岳などなど。twitterアカウント(@ravina_yamagirl )の中の人。